The Swedish Theory of Love  ドキュメンタリー

2016年1月8日にリリースされた映画 "The Swedish Theory of Love" が関心を呼んでいます。

 

"The Swedish Theory of Love" の題名はヘンリク・ベリグレン氏(Dagens Nyheter紙論説委員)らの「スウェーデン人は人間か?」(2006)からの引用です。

 

Den svenska teorin om kärlek (スウェーデン型愛情論)と著者が呼ぶ仮説は、夫婦、親子間等の愛情は、決して経済的依存によるものではなく、平等で相手の個人の自立を尊敬する関係です。

 

1972年に社会民主党が発表した”Familjen i framtiden (未来の家族)”

女性は男性に依存することなく、リタイアした親は子どもに頼ることなく、ティーンエイジャーは親に依存することなく、すべての国民は経済的に自立した社会を目指しました。

 

このドキュメンタリーは半世紀後のスウェーデン社会の現状を検証しています。

 

・子どもは欲しいがパートナーは不要、と人口受精で子どもを作る女性- ネットで注文すると冷凍された精子が翌日小包で届くそうです。

・死後何週間、何ヶ月、何年も経って初めて見つかる独居のスウェーデン人

 

スウェーデン人の半数は一人住まいで、自立は孤独を意味している、とErik Gandini監督は結論しています。

スウェーデンをヒントに〈幸せとは何か〉を考えさせる映画です。

一人住まいの家計の比率はスウェーデンが世界一ですが、日本も含めて世界で増加しています。

 

Euromonitor International社の調査によれば、世界の独り住まいの人口は1億5300万人(1996)から2億7700万人(2011)に15年間に80%も急増しています。

 

もう一つ。福祉国家の根幹には〈連帯意識〉が必要です。かつてスウェーデンでは個人の自由と連帯感が共存可能、と言われました。

Erik Gandini監督には、次には個人の自由自立と連帯感についても検証してもらいたいものです。