PISAの結果に喜ぶスウェーデン

スウェーデンのPISAの結果は前回まで毎回悪化していました。2012年の結果では3科目すべてでOECDの平均以下、2009年と比べてスウェーデンの結果はOECDの中で最悪。ということで大きなPISAショックがスウェーデンの教育界、政界を襲いました。

 

12月6日に公表されたOECDの最新のPISA(2015年実施)の北欧5カ国の結果は右のグラフ(DN紙)のとおりで、スウェーデンは3科目とも前回より得点、ランクが上昇し、メディアでも〈下降傾向は止められた〉と報じられています。DN紙の一面の見出しは〈スウェーデンの学校で安堵感〉。

 

昨年ストックホルム大学教育学部国際教育研究所助教授Ulf Fredriksson博士(スウェーデンのPISAの読解力部門の責任者)にスウェーデンの〈PISAショック〉の要因と対応策についてヒアリングをしました。

 

創造性,イノベーション、批判的思考,メタ認知,コミュニケーション,コラボレーションなどの〈21世紀型スキル〉をPISAは計測出来ているのか、との私の質問に対しては、お答えはYes and Noでした。

 

社会は急速なスピードでどんどん変化しています。私はPISAは15歳児の一部のスキルしか測定出来ていない、と考えています。これだけ毎回PISAの結果にスウェーデンでも日本でも一喜一憂するのは過剰反応ではないでしょうか。

 

もちろんPISAの結果から得られるヒントは色々あります。

 

PISAの日本の国別の結果のポイント (country note)で私が注目したのは以下のような点です。

 

・読解力の成績が下がった要因について、問題表示や解答が紙での筆記からコンピューターの使用に変わったことが挙げられていること。

 

・"日本では、科学的リテラシーの成績及び科学に対する生徒の態度について、男女差が顕著である。科学的リテラシーにおける男子の得点は女子を平均で14点上回っている。男子は、女子よりも強い認識論的信念 (epistemic belief)及びはるかに強い自己効力感があると回答している。さらに、日本では科学を学ぶ楽しさ(内発的動機付け)及び理科の学習が将来の職業に役立つという信念(道具的動機付け)のいずれにおいても、肯定的な回答は男子が女子を上回り、最も大きな男女差を示している国の一つである。"    (国別country note p.1)