医療の満足度、日本が最低(15%)

ロイターが世論調査会社IPSOSと昨年11月から今年1月にネットで日米中など22カ国で23000人を対象に実施した医療の満足度調査で、日本人の満足度は15%で最低であったという。この調査で自国の医療制度に満足している国民の割合が高いのは、スウェーデン(75%)とカナダ(70%)であった。

 

長くスウェーデン人の妻とスウェーデンに住んでいた私にとって、日本人のこの評価は納得出来るものではない。

 

まず、日本人の平均寿命は世界一であり、これだけでも日本の医療を高く評価すべきだろう。

自分自身の経験からも、私は日本の医療制度はスウェーデンよりも優れている面も多い、と思う。

たとえば、待ちさえすれば必ずお医者さんにその日に診てもらえる可能性。

妻は昨年NTT東日本札幌病院で胆石の手術を受けたが、スウェーデンと比べても本人は本当に満足している。

私はスウェーデンと比較しても、日本の医療制度の良さは多く、満足すべきだと考えている。(ただし、巨額の赤字を抱えており、現在のままでは持続可能なシステムではない)

 

それでは、なぜ日本人の満足度が低いのか。

 

一つは海外の状況にうとく、比較出来ない人が多いのではないか。

 

もう一つは一般的に日本人はあまり「満足」だとは言わない性格なのかもしれない。

たとえば、米国Pew Global Attitudes Project の調査結果では、自国の経済動向に最も悲観的な国民は日本と韓国(2009)であった。トップは中国、インド、インドネシアである。

2007年の調査にはスウェーデンが含まれていた。この年に自国の経済状況が良い、と答えたスウェーデン人は84%で世界2位、日本は25%で下位部に位置していた。

 

別のミシガン大学、エラスムス大学、等の調査でもデンマーク人が世界で一番幸福なのに対し、日本人は43位(レスター大学幸福度マップ)、 90位(World Values Survey)の低位にある。

 

日本人は本当に不幸で、満足できないのだろうか。

 

今朝妻とウォーキング中にこのことを話題にしたら、「中国やインドでは幸福=所得の増加、クルマや家電製品などモノを手にいれることかもしれない。でもスウェーデンでは、お金やモノよりも、男女で築く幸せな家庭などの方が大切では」との答えがかえってきた。

 

マズローの欲求段階説を出すまでもなく、そのとおりだろう。

ただ、日本人がなぜ満足度や幸福度が低いか、についての疑問は残る。

 

3月に本学大学院国際地域学研究科を修了した新谷舞子さんは修士論文「エコビレッジの研究−幸福祉社会への4つの鍵− 」でこのテーマに挑戦した。新谷仮説によれば、キーワードは安心感と多様性。

 

「無縁社会」に象徴的な人と人のつながりの薄れた社会。違いを認めない「選択肢のない」日本社会。これらの克服が幸福祉社会への鍵だという。