アイスランドのレイキャビクで開催されている北欧委員会の年次総会で、1日〈北欧連合国家〉構想についての本が出版された。北欧とは、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの5カ国を含む。
スイスのように加盟している州の自治権が大きい連合国家構想だ。著者の歴史家Gunnar Wetterberg氏は以下のようなイメージを描いている。
憲法、内閣、国会は共通とする。
外交、安全政策(貿易、移民を含む)は連合国家の共通政策とする。
労働市場政策、立法、インフラ、研究開発、高等教育政策等については、連合国家と加盟国の両方の責任として調整する。
北欧5カ国は合計で人口2500万人、経済規模は世界10-12位になる。連合国家として成立すれば、G20などの国際舞台でもより大きな発言権が得られる。著者は15-20年後に北欧連合国家は現実のものになる可能性がある、と結んでいる。
北欧5カ国は歴史的文化的にも共通点が多く、それぞれの言葉でコミュニケーションが成立するほどだ。EUの成立以前から北欧域内では共通の労働市場など北欧協力の一環として実施されてきた。
今回北欧委員会が実施した調査では、北欧の住民の42%が共通の国会、政府を持つ北欧連合国家構想に好意的である。
しかし、5カ国中でEUに加盟しているのは、デンマーク、スウェーデン、フィンランドの3カ国。アイスランドは申請中で、ノルウェーは加盟していない。
政策に占めるEUの意義が高まる一方、今後の北欧協力の意義とあり方が問われてきた。
しかし、環境、福祉等の分野で北欧の政策モデルが世界で注目されているのも事実である。
北欧協力、北欧連合国家構想の今後も注目される。