マイケル・サンデル教授のハーバード白熱教室〈究極の選択−大震災特別講義〉を見ました。
ボストン、東京、上海のスタジオに集まった大学生と女優の高畑淳子、ジャパネットたかた社長の高田明、歌手の高橋ジョージ、作家の石田衣良が出演。
取り上げられた議論のテーマは以下のようなものでした。
・日本人の勇気と美徳
・個人主義 vs 共同体意識
・原発の危険な任務は誰がどのようにしてやるべきか
・原発の是非
・国際連帯の可能性
実は6月25日に日本、韓国、スウェーデンの学生らが集まり、同じような議論をしたいと思っていた矢先でもあり、大いに参考になりました。
サンデル教授の講義手法には大変興味があります。以下は現代ビジネスにおけるインタビュー記事からの引用です。
この授業で私は学生に自分で深く考える力を身につけてほしいと思っています。いろいろな立場の哲学者の考えを知ることで、学生たちの思考は深まるはずです。自分で考えることがどれくらい難しいのかを、教えることも授業の目的のひとつです。
学生たちは私の授業でメモを取っていますが、ただ文字を書いているだけではありません。彼らは哲学者と議論しています。お互いの意見を尊重しなが ら、私とも議論し、学生同士でも議論しています。それが民主主義社会ではとても重要なことなのです。とくにお互いに意見を異にするとき、その意見を尊重し 合うことは重要だと思います。
議論するテーマはもちろん私が決めています。(中略)
昔の問題ではなく、いま起きている問題を扱うことが重要だと考えています。そういった問題には、学生たちがすでに直面している、あるいはこれから直面する可能性があるから、彼らがよけいに真剣に取り組むと思われるからです。
ディベートのテーマに、たとえば正義や公正のような難解なものを選ぶのは、学生を刺激して、自分の力で深く考えさせるためです。私が授業で扱うテーマについては、必ず自分なりの答えを持っています。それを学生に隠そうとは思っていません。
私が講義の最後に意見を述べるのは、自分がニュートラルであるふりをしたくないからです。自分の考えに対しては正直でありたいからです。でも、私 がそれを明らかにする頃には学生たちは自分の考えがすでに固まっていて、私の考えに賛同するかどうか自ら判断することができるようになっています。
私が「白熱教室」を続けているのは、みなのディベートのレベルを上げていきたいと考えているからです。そうすれば世の中で起こっている問題について議論した際、必ず共同体や社会のためになる優れた結論を導けるようになると思っています。
『サンデル教授の対話術』(NHK出版 2011年3月 ISBN978-4-14-081467-3)の帯文に「最高の教育とは、自分自身でいかに考えるかを学ぶことである」とあります。200%同感ですね。サンデル教授は私にとってもロールモデルです。