中央教育審議会(中教審)の大学教育部会は26日、学生が授業以外で主体的に学ぶ時間を増やすよう各大学に求める提言をまとめた。
日経の記事によれば、〈全入時代で学生の質の低下が懸念される一方で、グローバル社会に対応できる能力の育成が課題になっており、「勉強しない学生」を放置 してきた大学に抜本的な意識改革を迫った。〉そうだ。 以下は日経の記事の引用です。
同部会に専門家が提出した調査結果によると、日本の大学生の勉強時間は1日4.6時間(授業を含む)。1単位の取得には本来45時間(同) の学習が必要とされ、総卒業単位(124単位)を得るには1日8時間程度勉強しなくてはならないが、実態は半分近い水準だ。自主的な予習・復習が少ないためで、米国の学生と比べても短く、日本の大学教育の評価が低い原因という。
提言は、グローバル化や少子高齢化が進み、変化の予測が難しい社会での大学教育の役割を「生涯学び続け、主体的に考える力の育成」と定義し た。講義を一方的に聞く受動的な学びではこうした力は鍛えられず、予習・復習をしっかり行う課題解決型の授業などを中心にすべきだとした。
必要な仕組みとして、学生が事前に準備しやすくなる内容の濃いシラバス(授業計画)や体系化されたカリキュラムの整備、授業を補助するスタッフ、教室内のICT(情報通信技術)機器や図書館機能の充実などを挙げた。個々の教員任せにせず大学全体で改革に取り組み、勉強時間の充実をきっかけ に教育の質を高めていく好循環をつくるよう提案した。
以下は四半世紀大学教育に携わってきた一教員としての感想です。
・何よりも大切なことは、学生の学ぶモチベーションを高めることだと私は考えています。モチベーションが高まれば、自ら学んでくれます。
・日本の大学教員はこれまで主として〈研究の成果〉で採用されてきました。しかし、これからは〈教育力〉をもっと取り入れる時代ですね。
・大学生の教育はもちろん国の大きな教育システムの一部分です。〈自分で考え、自分で判断し、自分で行動する〉教育は、大学生になってから突然始めても限界があります。グローバル化が進行する21世紀の社会で必要とされる人材像を明確にし、幼児教育、義務教育を含めたNIPPONの教育システム全体の進むべき方向から大学教育のあるべき姿も位置づけるべきでしょう。つまり大学の教育改革と幼児・義務教育の改革をシンクロさせる必要があります。
関連資料:朝日新聞2012-3-8〈教育の質向上は学修時間の増加から〉
昨日の部会に提出された資料を検索しましたが、文科省サイトでみつかりません。文科省に限ったことではないのですが、日本の中央官庁の情報公開のスピードは私がよくチェックするスウェーデンなど北欧と比べると格段遅いですね。スウェーデンではプレス発表と同時にウェブでも公開されることがほとんどです。NIPPONでは記者クラブへの配慮からでしょうか、ウェブでの公開をずらしているようです。 情報公開のシンクロ化を強く希望します。