1999年に大きな改革が行われたスウェーデンにおいて、公的年金制度の今後についての議論が盛んです。
以下は現在のスウェーデンの年金制度について厚生労働省の資料からの引用です。
○ スウェーデンの公的年金制度は、持続可能な年金制度を構築する観点から1999 年に改革が行われた。
① 所得比例年金(Earning-Related Pension)と低・無年金者に対する税財源による保証年金(Guaranteed Pension)とを組み合わせた体系に再編。
② 現役時に拠出した保険料の額をもとに、賃金上昇率を「みなし運用利回り」として計算上の年金原資を計算し、これを平均余命で割って、年金額を求める「概念上の拠出建て(Notional Defined Contribution System)」を採用。
③ 保険料率を固定して、その範囲内で給付を行うこととし、少子化等の社会経済の変動に応じて給付が自動的に調整される「自動財政均衡メカニズム(Automatic Balance Mechanism)」を導入。
1994年にスウェーデン国会は与野党5党(全議席の80%)の多数で新たな年金制度の導入を決めた。この5党は今日もこの制度を支持しており、現行年金制度には政治的多数の状況がある。
1994年の年金改革制度の審議をリードしたBo Könberg氏(現在Sörmland県知事、自由党)は、今後30年間年金制度を持続可能なものとするために、4月8日のDagens Nyhter紙上で以下のような提言をしている。
20-64歳人口/65歳以上人口(65歳以上を何人の現役世代で支えるか)は現在3.1だが、「健康である年」を考慮すると、今後30年間は、2.3に低下するとみられる。
これは他の多くの先進国と比べて恵まれている数字である。そしてその理由は、①少子化を防止する家族政策、②移民の増加、にある。
現在の制度では、平均余命の増加の2/3だけ働く期間を延長することになっている。この考え方をこれからも維持すれば、20-64歳人口/65歳以上人口は2.9にとどまる。
従って、①出生率が現在と変わらない水準、②平均余命の増加の2/3だけ働く期間を延長する、そして③労働市場への参入年齢を毎年約1ヶ月引き下げる、という前提があれば、今後30年間バランスは維持出来る。
現行制度では、所得比例年金は61歳から、保証年金は65歳から支給が可能である。
そして、67歳までは年齢を理由に解雇出来ない制限がある。
67歳の制限を平均余命にスライドさせるべきである。この年齢は2003年に引き上げられたが、その後平均余命は1年強延びている。来年この制限は68歳に引き上げることが可能である。
参考資料: