Skymark のサービスコンセプトとサービスの価値と値段

スカイマークのサービスコンセプトが話題になっています。

 

航空会社スカイマーク(東京都大田区)が機内で配布している接客指針に「機内での苦情は一切受け付けません」と記載した問題で、同社は6日、指針を回収すると発表した。

 苦情の受付先として「消費生活センター」と例示した部分を削除する。

 同社によると、この指針は5月中旬から同社の全27機計4779席の座席ポケットに入れられている。14日から新たに作り直した指針を配る。消費生活センター以外の部分の文案は今後検討する。同社は「深くおわび申し上げます」と陳謝した。

 この問題を巡っては、消費者庁も6日、「自社に関する苦情を公的な相談機関に振り向けるもの」として回収を要請した。

(2012年6月7日07時15分  読売新聞)

 

同社の変更前のサービスコンセプトは下のようなものです。

この事件は、日本企業のサービスの価値と値段について考えてみるよい機会ではないでしょうか。

 

私は北欧によく行きますが、日本企業の「サービス」が良いことは私も含め誰もが認めるところです。「日本のおもてなし」はおそらく世界一でしょう。

 

問題はそのサービス、おもてなしの価値に相当した値段を頂いているか、です。

世は「体験産業」の時代。("The Experience Economy" by Joseph Pine & Gilmore)

 

しかしサービス、おもてなしはタダではなく、コストがかかります。

 

日本の企業は世界一のおもてなし、サービスに対応した値段で販売出来ているのでしょうか。

 

この件について、河合薫さんの論考「スカイマーク騒動が浮き彫りにした“感情”のお値段ー付加価値をサービスに求める企業の勘違い」(日経ビジネスオンライン)は興味深い。

河合さんは「感情労働」のコンセプトで説明しています。上述の「体験産業」と置き換えることも出来るでしょう。

河合さんはこの記事を下のように結んでおられます。そのとおりですね。スカイマーク騒動をヒントに「お客様を満足させるサービスの価値と値段」について考えてみては如何でしょうか。

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「『お客様を満足させる』ために我が社が従業員に求めるものは何か?」をとことん突き詰め、「お客さんを満足させる」ことの意味を考え抜いた方がいいのではないか。

 “顧客を満足させる”ことに疲弊しきって、しまいには金属疲労のように心がポキリと折れることがないように、働く人のためにも、勝ち残りたい企業のためにも、そして何よりも、モンスター化するお客様を増殖させないためにも。

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[スカイマーク・サービスコンセプト]

 スカイマークでは従来の航空会社と異なるスタイルで機内のサービスをしております。「より安全に、より安く」旅客輸送をするための新しい航空会社の形態です。つきましては皆さまに以下の点をご理解頂ますようお願い申し上げます。

  1. お客様の荷物はお客様の責任において収納をお願いいたします。客室乗務員は収納の援助をいたしません。
  2. お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません。客室乗務員の裁量に任せております。安全管理のために時には厳しい口調で注意をすることもあります。
  3. 客室乗務員のメイクやヘアスタイルやネイルアート等に関しては「自由」にしております。
  4. 客室乗務員の服装については会社支給のポロシャツまたはウインドブレーカーの着用だけを義務付けており、それ以外は「自由」にしております。
  5. 客室乗務員の私語等について苦情を頂くことがありますが、客室乗務員は保安要員として搭乗勤務に就いており接客は補助的なものと位置付けております。お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます。
  6. 幼児の泣き声等に関する苦情は一切受け付けません。航空機とは密封された空間でさまざまなお客様が乗っている乗り物であることをご理解の上で搭乗いただきますようお願いします。
  7. 地上係員の説明と異なる内容のことをお願いすることがありますが、そのような場合には客室乗務員の指示に従っていただきます。
  8. 機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます。ご不満のあるお客様は「スカイマークお客様相談センター」あるいは「消費生活センター」等に連絡されますようお願いいたします。