デジタル弱者に優しくない福祉国家スウェーデン

24日のスウェーデンのメトロ紙はインターネットを使っていないので飛行機や汽車が利用出来なかったソルベイグさんの経験を報じています。

 

スウェーデン北部に住むソルベイグさんはストックホルムに住む娘に孫が出来たので、急いで空港に向いました。

しかし、空港では暗証番号の使えないカードは使えない、とのこと。

それでやむなくKramforsの駅に向ったが、駅ではネット以外で切符は一切販売していない。

結局長距離バスに乗ったが、ストックホルムに着いたのは夜の11時頃になってしまったようです。

 

PRO(スウェーデン年金生活者連盟)は40万人の会員を持つが、半数の20万人以上がインターネットを使っていないとのこと。PROの担当者はメトロ紙に対して「デジタル疎外(digital utanförskap)の状況。デジタル化は不可避だが、ネットを使わない国民には代替の方法があるべき。公共のトイレ、駐車料金メーター、切符の販売に現金が使えるように要求する会員が増えている」と述べています。

 

スウェーデンに来てつくづく感じるのが、〈キャッシュレス社会〉の到来です。

 

先日現金を預金口座に預けるのに、ほとんどの支店は〈現金を扱わない〉ので苦労しました。また日本のATMは現金の預け入れも出来ますが、こちらではほとんどのATMは引き出しのみ。

 

最近は小売り店でもクレジットカードでしか支払いが出来ない店が増えているとのことです。

 

昨日チャーター旅行代金を支払ったストックホルム都心のVingも〈キャシュレス〉でした。〈お客様と会社の両方のために当店では現金は扱いません〉と店内に表示してありました。

 

確かに企業にとっては、コスト削減、安全対策など現金を扱わないメリットは分かります。しかし〈お客さま〉にとってのメリットは何でしょうか。

 

ストックホルム市内のバスはチケットなしで乗ることは出来ません。事前にSMSなどで購入するか、〈アクセスカード〉を購入し、入金しておく必要があります。私も今週からアクセスカードを使い始めましたが、ネットを使い慣れている方の私にとってもそう簡単ではありませんでした。高齢者だけではなく、多くの観光客などはどうされているのか、気になりますね。ギブアップの方も多いのではないでしょうか。

 

クレジットカードやネットなしでは買い物も出来ない福祉社会における〈デジタルデバイド〉の一面です。このようなキャッシュレス化が一部のデジタル弱者のクレームにも拘わらずこんなスピードで進んでいくのは日本では考えられないでしょう。