スウェーデンの大手の私立学校グループ(JB Education)が6月に倒産し、スウェーデンだけではなく、イギリスでも大きな話題になっています。
JB Educationは 2000年に教育事業をスタートさせ、スウェーデン全国20都市で学校を運営していました。
しかし、近年高校生の数が急減し、〈利益率〉が減少。オーナーのAxcel社(2008にJB Educationを買収したデンマークのベンチャーキャピタル)はJB Educationの倒産、学校事業からの撤退を宣言したものです。
JB Educationは高校を中心に全国に6000人以上の生徒、700人の教職員を抱えていました。夏休み直前に倒産、学校がなくなるとのニュースが入り、関係者は対応策に追われました。
最終的には、31の学校について学校庁はオーナーの変更を認可し、別の所有形態で運営が続けられることになりました。
しかし、Halmstad, Jönköpingなどでは別のオーナーが見つからず、コミューン(自治体)が受け皿にならざるを得なかったとのことです。
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スウェーデンでは1980年代から福祉民営化(民間委託)の動きが始まり、学校教育(6-18歳)部門では、私立学校のシェアは現在約15%とみられます。しかし民営化の問題点(所有者、利益処理、設立場所、などに条件がないことなど)が明らかになり、国会の民営学校委員会(Friskolekommittén)は5月末に答申を出していました。
スウェーデンでは2014年9月に総選挙が予定されています。今回の問題などを背景に学校教育を最重要争点の一つにしたいとの声がとくに社会民主党から高まっています。
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イギリスの保守政権は北欧、とくにスウェーデンの学校民営化システムに注目し、その導入を計画していました。例えばKunskapsskolan, Internationella Engelska Skolan (IES)などのスウェーデンの私立学校がイギリス国内で学校を運営しています。
このため、英国のメディアもJB Education倒産のニュースを大きく報じ、政策の方向の信憑性について論じています。