イノベーション力・スウェーデンの最終報告会。
スウェーデンの政策の議論の中心にあるものの一つがイノベーション力。現在の中道右派政権は昨年(2012)イノベーションの国家戦略を公表しています。この戦略は2020年までを視野に入れ、イノベーション環境を最善のものに整える方向性を明らかにしています。
EUのInnovation Union Scoreboard 2013によれば、スウェーデンはEU加盟国のトップにランクされていますが、この地位を維持し、日米中韓などに負けないイノベーション力を持つことが目標です。
イノベーション力・スウェーデンは、スウェーデンの地域におけるイノベーション力を高めるための1年間の活動の報告でした。以下の4分野の政策が強調されています。
・企業環境、とくに新規起業環境の改善
・税制の改革 個人のオプションは資本所得として課税する(現在は給与所得)、自己資本は融資と同等に課税する。
・大学の自治の拡大、大学間の協調を拡大するための政策
・イノベーションを刺激する公共調達
イノベーション力・スウェーデンでは7つの県/地域がイノベーション戦略をまとめ、さらに7つが今秋または来年まとめる予定です。
地域が優先している戦略分野は、イノベーション/研究環境(インキュベーター、サイエンスパークなど)、より効率的な支援システムとインフラなど。地域の得意分野では、IT、エネルギー、製造業、体験産業などが多く挙げられています。
イノベーション戦略を実行するプロセスで重要なポイントとしては、強いリーダーシップ、シェアされているビジョンと目標など16項目が明らかにされています。
将来のイノベーション力のためのキーワードとして、①オープン・イノベーション、②スマート専門化、などが提唱されています。
このセミナーに参加して以下は私の感想です。
・イノベーションの定義。 商業化が近い技術的なイノベーションがメインのターゲットに置かれている印象を持ちました。創造性などイノベーション基礎力ともいえるスキルや能力をどのようにみているのか知りたいものです。
・パネリストの一人、王立工科大学(KTH)のEric Giertz教授は〈大学への期待が強すぎる〉とコメントされていました。私は〈専門家への期待が強すぎる〉と解釈しました。 専門知から集合知の時代です。"Widom of crowds"をどのように吸収し活用するかが問われています。スウェーデンでは集合知または"Widom of crowds"をどのように考えているのかも議論してみたいものです。