スウェーデンのPISAショック

2012年のPISA(OECDによる15歳児の学習到達度国際比較調査)の結果が発表され、日本は読解力と科学的リテラシーでOECDのトップ、数学的リテラシーで2位、とこれまでと比較して大幅に改善しています。

一方スウェーデンの結果はグラフのとおりで、毎回結果は悪化しています。今回は3科目すべてでOECDの平均以下となっています。前回と比べてスウェーデンの結果は
OECDの中で最悪です。とくに男の子と出来の悪い生徒が足を引いています。教室の学習環境、教師のステータスが低い、なども話題になっています。

 

スウェーデンでは1992年から〈学校の自由選択〉制度がスタートしました。その結果今世紀に入ってから学校間格差が顕著になっていることが学校庁の報告などでも指摘されてきました。恵まれた家庭の親は少し遠くても〈良い〉学校を選び、恵まれない家庭の親は積極的に学校を選ばない結果、学校間格差が広がってきているようです。

 

2013年の学校庁の報告〈同質の学校のために強力な政策が必要〉では、①学校間格差の拡大、②教師のスキルの維持、③学校経営の長期的視野の必要性、が指摘されています。 

 

スウェーデンの総人口の2割程度が外国人または外国生まれ。先日地方都市の先生が、日常的に英語を使わざるを得ない、とおっしゃっていたのが印象に残っています。


2014年9月の総選挙を控え、スウェーデンでは教育問題が争点の一つになりつつあります。PISAショックの影響は大きそうです。

 

日本では2003, 2006年の〈PISAショック〉は教育政策に大きなインパクトを与えました。例えばゆとり教育からの乖離、〈目標評価システムの浸透〉などです。(松下佳代・京大教授による)

 

日本の対応はスウェーデンにとっても参考になるかもしれません。

 

ところでデンマークの教育省は今回からPISAの結果のランキングを公表しないことを決めたそうです。OECD平均、デンマークの過去の結果との比較程度にとどめるようです。教育政策を評価する独自のモノサシがあれば、PISAの結果に一喜一憂せずにデンマークのやり方も一つの選択肢でしょうか。