HUI Research (スウェーデン商業研究所)による〈イケアが町に来ると? What happens when IKEA comes to town?〉の研究報告会。
著者の一人Sven-Olov Daunfeldt教授によれば、調査は2000-2011年のスウェーデンにおけるヨーテボリ、カルマー、ハパランダ、カールスタードの4店の立地を対象に、①耐久消費財市場の売上げの変化(立地した自治体および近隣の自治体)、②耐久消費財業界の雇用の変化(立地した自治体および近隣の自治体)について分析されました。
耐久消費財市場の立地自治体における売上げ合計は20%増加しています。雇用機会は17%増加しました。(イケアを含む)
近隣自治体では売上げは2%減少しているが、雇用は変化が認められません。
スウェーデンではイケアの誘致のための自治体間競争が鮮烈になっています。
カールスタードでは4300万SEK、ウッデバラでは4億4700万SEK、ボーレンゲでは5億6200万SEKの投資を自治体がしてイケアの誘致に成功したとのことです。
今朝のDN紙はこの調査について大きく報じています。その記事の見出し〈イケアへの投資は自治体にとって不透明な投資〉
スウェーデン北部のウメオには2015年末にイケアが開店する予定です。DN紙上でウメオのLennart Holmlund市議会議長(社会民主党)は、ウメオはイケアの誘致活動を1980年代の終わりに始めた、と明かしています。つまり20年以上の誘致努力を重ねてきたことになります。
日本でもイケアの立地のための自治体の誘致活動は熾烈なようです。たとえば、2012年4月に開業した福岡天宮店のためには新たな駅が建設されたそうです。
ここまで世界中の自治体が熱心になる理由はこの調査のように、売上げ、雇用の増加による地域の活性化への期待であることは間違いないでしょう。
それにプラスして日本では私はイケアがもたらす「新たな働き方とワークライフバランス」に大きな期待を寄せています。今日の発表会ではイケアの欧州本部の方もおられましたが、〈男女共同参画が遅れている日本ではならの期待でしょう〉と一笑に付されてしまいました。