アメリカの「不安定階級」by David Brooks

NY TimesのDavid Brooks氏のコラム記事〈The American Precariat〉は大変興味深い内容です。

 

かつては夢を求めて職を変え、世界一引っ越しをしたアメリカ人のライフスタイルが変化してきています。

 

1950年には20%のアメリカ人が引っ越しをしました。今日では12%程度です。1950-60年代はアメリカ人は同じ家に平均5年住んでいましたが、今日は8.6年住みます。引っ越しの頻度ではデンマークやフィンランド程度です。

 

 

高齢化も一因ですが、若いアメリカ人もかつてほどは引っ越しをしません。1980年代から2000年代にかけて、若い成人の引っ越しは41%減少しています。

 

Brooks氏は「自己確信の喪失」が大きな要因と指摘します。

 

引っ越しするには一時的に経済的、精神的な負担も増えますが、かつてアメリカ人はそれでも将来はベターな生活がある、と確信して引っ越しをしました。

 

今日アメリカ人は所得水準が低くとも住宅費の低い地域に引っ越します。つまり中長期的には所得の伸びが期待出来なくとも、目先の住宅費減少の方が魅力なのです。

 

白人のアメリカ人では46%しか将来自分たちの生活水準が上がる可能性が高い、と考えていません。歴史的に最低の水準とのこと。

 

65歳以上のアメリカ人の50%はアメリカが世界一の国と考えていますが、18-29歳の若者では27%しかそう考えていません。

30年前には大多数のアメリカ人は中流と考えていましたが、今日は貧困階級だと考えているアメリカ人が増えています。

 

アメリカ版の「不安定階級=The American Precariat」はアメリカの歴史ではユニークな悲観的運命論主義です。

 

決定的な対策はありませんが、長期失業者にGo West! (or South, East or North)のためのバウチャーを支給するアイデアもあります。

 

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悲観論は日本も含む多くの先進国に共通でアメリカだけの現象ではありません。

Go West! (or South, East or North)が解決策になるかどうかも疑問ですね。アジアに向けてGo East!なら別ですが。

 

それよりも、夢を求めて引っ越しはしなくとも、自分たちが住んで来た地域を自分たちで活性化する動きに期待したいものですね。

そのような動きについては日本の方がある意味ずっと先を進んでいるような気がします。