変化するスウェーデンの労使関係

8月15日付けのSvenska Dagbladet紙は現在の中道右派政権の〈arbetslinje=働くことがペイする政策〉の労使関係等への影響を分析しています。

 

現政権のarbetslinnjeは働くことがペイする一方、働かない失業者や年金生活者などが冷遇されることを意味します。

 

まず現政権は他のOECD諸国よりも大幅な所得税の減税をしました。

8年前に政権が誕生した時点でスウェーデンよりもGDPに対する税の比率が高かったのはデンマークのみでした。しかし、近年はデンマークの他、イタリア、フランス、ベルギー、オーストリアもスウェーデンよりも高くなっています。

 

失業手当も他のOECD諸国よりも大幅に削減されました。スウェーデンにおける税引後の失業手当は2005-2010の間に15.1%も減少し、その減少率はOECD加盟国で一番でした。(左の図)

 

スウェーデンでは失業手当を管理しているのが労働組合のことが多く、さらに組合費を所得から控除することが出来なくなったことから、組合の組織率も減少しています。(右の図)2006-12年にスウェーデンでは組織率が7.6%も減少し、この減少率も世界に類をみません。

 

中道右派政権の政策は労使関係にも確実に大きな影響を与え変化させてきました。と同時に現在の世論調査では9月14日の総選挙で社会民主党を中心とする左派政権への交代がほぼ確実視されています。政権交代があれば、労使関係はどのように変化するのか、その動向も注目されます。