2015年版「高齢社会白書」と同時に公表された高齢者の日常生活に関する意識調査では、インターネットやスマートフォンなどの情報端末を「全く利用していない」「あまり利用していない」が合わせて67.2%に達し、高齢世代には浸透していない実態が浮き彫りになった、との報道があり、インターネットの利用状況をスウェーデンと比較してみました。
スウェーデンでは.SE(インターネットインフラ財団)が毎年インターネットの利用状況について調査し、結果を公表しています。
これによれば、スウェーデンでは56-65歳の約90%がインターネットを利用しています。(日本の60-64歳層は45.9%)スウェーデンの66-75歳層では79%が利用しています。(2014年) (日本の65-69歳層は32.8%、70-74歳層は21.0%)
スウェーデンでは76歳以上の層でも34%が利用しています。(日本の75歳以上の層は12.3%)
つまり高齢な層ほど日本とスウェーデンのインターネット利用の差が大きいようです。
この違いはどこから出てくるのでしょうか?
一つには必要性の差がありそうです。スウェーデンでは電気、電話、家賃などの銀行口座からの自動引き落としはあまり一般的ではなく、毎月請求書の支払いをネット以外でするとかなりの手数料をとられます。銀行や郵便局の数も極端に少なく、個人の用件を扱ってくれる窓口を探すのも大変です。インターネットバンキングでないと公共料金の支払いも容易ではないのです。 もちろんこれは意識的な政策の結果でしょう。知業社会ではネットやコンピュータに出来ることは出来るだけしてもらい、人間は考えることに時間を費やすべき、との考え方です。