18日のデンマークの総選挙の結果、右派ブロックが左派ブロックを上回り、Venstreは大幅に議席数を減らしたものの、Lars Løkke Rasmussen党首が首相に返り咲きます。Helle Thorning-Schmidt首相は退任、および社民党の党首も退任することを明らかにしました。
社会民主党 47議席(+3) 得票率 26.3% (+1.5%)
デンマーク国民党 37議席(+15) 21.1% (+8.8%)
Venstre 34議席(-13) 19.5% (-7.2%)
右派ブロック 51.9% (90議席) 左派ブロック 48.1% (89議席)
移民制限等を主張するポピュリスト党デンマーク国民党が今回の選挙の勝者で、第二党に浮上しました。しかし、内閣には入らず、野党に留まる、と発言しています。
経済、福祉に加え、選挙戦の終盤では難民の制限問題が大きな争点になったようです。
デンマークでは外国人がデンマーク人と結婚してもどちらかが24歳以下の場合は外国人はデンマークには居住出来ない、という「24歳ルール」なるものがあります。
社会民主党は戦争地域からの難民には1年間の期限付きビザしか発給しないことを決めました。Venstreは難民について、仕事につき、デンマーク語を話すことが出来るようになって初めてパーマネントビザを発給する、と主張しています。
デンマーク国民党は、母国の状況が落ち着いた難民は帰国させ、学校ではブルカを禁止、「罪をおかす」難民は国外追放させる、としています。
フィンランド(2015年の総選挙の結果、真のフィンランド人党が入閣)、ノルウェー(2013年の総選挙の結果、進歩党が入閣)に続き、デンマークも同様に難民制限を主張するポピュリスト党が得票率を大幅に増加させる選挙結果となりました。
デンマークのPolitiken紙の文化部長Rune Lykkeberg氏はDagens Nyheter紙上の記事で、〈国民は批判し、権力をチェックするのに上手くなった。そして国民はその他の方法で力を発揮するのが下手になった。国民はノーというのが上手になったので、Helle Thorning-Schmidt=社民党党首やLars Løkke Rasmussen Vensre党首のようなリーダーが国民の支持を得るのが難しくなってきている。選挙後の政権に拘わらず、政策に大きな変化はないであろう。デンマークの国会は立法機関ではなく、政府をチェックする機関になってしまっている。〉と主張しています。
写真はHelle Thorning-Schmidt=社民党党首(右)とLars Løkke Rasmussen=Venstre党首(左)出所:DN紙より。