8月16日のDN紙はスウェーデンにおける市民の共同活動(förening)の減少傾向を6ページにわたって報じています。
さまざまな市民参加による共同活動は、福祉国家スウェーデンを発展させた原動力とも捉えられてきました。
たとえば労働者の組織化、生協、学習サークルなどは世界的にみても高い水準にありました。
DN紙は、具体例として、親による共同運営スタイルの保育所が急減しているケースを詳しく報じています。
その他、Friluftsfrämjande (アウトドア活動の協会)の会員数も、1980年と比較して約3分の1に激減しています。
16-84歳のスウェーデン人で政党に属している人は1980年の13.8%から2014年には5.2%に減少しています。
市民活動は社会的資本の重要な要因でもあります。市民活動への参加率の減少は民主主義のベースにある相互信頼とも関連します。
日本と比較するとこのトレンドをどのように解釈すべきでしょうか。
私は昨年秋のRESER(欧州サービス経済学会)で、〈Expectations on social innovations by citizen participation in Japan〉というタイトルで発表しました。
日本では〈新市民〉と言われる市民活動が活発になっています。1999年のNPO法施行以来、NPOは急増し、2015年には5万を超えました。
しかし、人口が日本の7%しかないスウェーデンではNPOは約20万もあり、16-84歳の市民の86%がNPOに参加しています。(SCB, Undersökningarna av levnadsförhållanden, 2008)
スウェーデンでは市民の共同活動への参加率が減少しているとはいえ、日本とはレベル、段階が違うようです。