広田まゆみさんにお願いしてわざわざ買って持って来て頂いた『国家がよみがえるときー持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』by 古市憲寿/T・トイボネンを早速読み始めました。
以下はアマゾンの商品説明からです。
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フィンランドと日本、それぞれの国を代表する若手社会学者2人が、
“折れない国家”フィンランドの秘密を探る社会文化論。
トゥーッカ・トイボネンは、フィンランドの社会に内包するジレンマを取り上げデータに基づき考察する論文を、フィンランド国内の著名な研究者たち十数名に依頼した。それを日本語に翻訳し、古市憲寿と分析した結果、そこに、フィンランドが「何度も挫折を経験した国」であり、同時に「何度も復活を果たした国」である理由を見い出す。
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私は第4章「起業大国」フィンランド、第2章フィンランドの教育は本当に素晴らしいのか、から読み始めたところです。
第4章「起業大国」フィンランド には以下の論文が収載されています。
・論文8 ヘルシンキの春
・論文9 「創造性」のパラドックス
・論文10 日本とフィンランドにおける創造性とイノベーション
・論文11 信仰としての「イノベーション」
〈ヘルシンキの春〉に代表される「2010年頃から始まった熱狂的な起業ブーム」(p.178)の背景、創造性やイノベーションが社会問題の解決にとっても必須の〈信仰〉視されている状況の記述(pp. 223-224)は臨場感が伝わりとても興味深いです。
フィンランドでは1980年代から、起業家精神は内的と外的に分けられるようになりました。
外的起業家精神は独自のビジネスをスタートさせ、経営することで、本書で扱われている起業は〈外的起業〉のことです。
一方、内的起業家精神(yritteliäisyys)とは、起業家的特徴または外的起業家精神の前提条件で、具体的には、創造性、柔軟性、活動、勇気、イニシャチブとリスク管理、方向性、協調性とネットワーク能力、ものごとを達成するモチベーション、常に学び続ける態度、空想性、豊かな発想、我慢強さなどを意味します。(『フィンランドに学ぶ教育と学力』明石書店に収録された拙稿から)
フィンランドでは、1990年代からバーサモデルと称される「就学前からの(内的)起業家精神教育」をスタートさせて世界的に注目されてきました。
このバーサモデルの発祥地が現在来ている西海岸のVaasaです。
つまり〈ヘルシンキの春〉に代表される「2010年頃から始まった熱狂的な起業ブーム」の素地を築き、背景にある大きな要因はバーサモデルの内的起業家精神ではないか、と再認識しています。
今日からのバーサでの視察でもこのあたりの近況も教えてもらい、意見交換するのが楽しみです。