欧州難民危機の新潮流とNIPPONが今すべきこと

The International Organisation for Migration (IOM)は昨年12月22日に欧州に到達した難民等が100万人を超えた、と報じました。

 

難民申請受け入れの実数が最も多いのは、ドイツ、ハンガリー、スウェーデンなどです。各国で史上最大の規模となっています。

右のグラフは人口10万人あたりの難民申請受け入れ数で、上位はスウェーデン、ハンガリー、オーストリア、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、スイス、ベルギー、デンマーク、マルタです。

 

しかし、これまで受け入れに積極的であった北欧諸国やドイツにも最近新たな潮流が見られます。

 

・スウェーデン政府は昨年12月に野党4党と〈受け入れに秩序を取り戻し、コストを抑制する〉ための合意に達しました。受け入れに積極的であった与党環境党のÅsa Romson氏が目に涙して記者会見に臨んだシーンが大きく報じられました。 

 

具体的には今年初めから、デンマーク、ドイツなどから陸海路(鉄道、車両、フェリー)で入国する際に身分証明書の検査を実施しています。

スウェーデンのAnders Ygeman大臣は、1月28日、昨年スウェーデンに難民申請をした16万人の約半数8万人は認可されず、国外強制退去となりそうとの予測を明らかにし、欧州で大きなニュースとなりました。

 

・デンマークの国会は以下のように難民申請を大幅に厳しくする法律を1月26日に採択しました。

 警察は国境で10.000DKK(約17.5万円)を超える金品を没収することができる。(結婚指輪などの個人的なものは除く)

 デンマークで難民認定されても、家族を呼び寄せられるのは3年後になる。

 デンマークは昨年2万人の難民を受け入れました。(スウェーデンは16万人)これ以上の受け入れは無理、とのサイン、だと中道右派政権は説明して います。〈近隣諸国と比べて最も厳しい難民受け入れ条件〉(Inger Stöjberg大臣)

 

・フィンランドの担当大臣は1月28日、フィンランドに昨年到着した難民32.000人の3分の2、2万人は申請が却下されるとの見込みを公表しました。  フィンランドへの難民の過半数はイラクからです。

 

・ノルウェーは昨年12月にロシアからの難民流入をストップさせ、その後難民はフィンランドに流れています。

 

・ドイツも1月29日、難民の家族の呼び寄せを規制するなどの新たなルールに与野党が合意しました。移民に反対するAlternativ党(AfD)が世論調査で12%の支持を得て第3党に伸びています。

 

これまで難民受け入れに積極的であった北欧諸国やドイツも、慎重な方向に転換し、各国は〈難民受け入れ条件は厳しくなったので来ても大変ですよ〉という脅しの〈サイン、合図〉の競争をしている様相です。

 

-----

一方わが国の難民受け入れ数は2014年が11人、2015年が27人(99%が拒否されている)という〈難民鎖国〉

 

昨年9月30日、国連総会で、シリア・イラク難民の問題について、約8億1000万ドル(約972億円)の経済支援を実施する方針を表明しました。

 

 安倍首相が記者会見で「シリア難民を受け入れる可能性をどう考えるか」と問われて、「人口問題として申し上げれば、われわれはいわば移民を受け入れるよりも前にやるべきことがあり、それは女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります」などと答えたことに対し、 小俣直彦(おまた なおひこ)/オックスフォード大学難民研究センター主任研究員は同僚から「これは誤訳か」と尋ねられた、と東洋経済オンラインのインタビューで述べられています。

 

東大客員研究員の三浦瑠麗氏は伊勢志摩サミットで1万人受け入れ宣言を提唱されています。

大賛成ですね。以下のような効果が期待できます。

 

・欧州がこれだけ困っている状況だけに、NIPPONの支援が大きく評価される。

・日本にとっては少子化対策、国際化対策の視点からも効果が期待できます。このままではNIPPONは〈沈むのを待っているだけの船〉ではないでしょうか?