ヘルシングボリで大変お世話になった教育センターのCarina Wällstedt Johansson先生から、『子どもたちの遊びから始める力—ヘルシングボリのプレスクールからの8つの経験談 』(2015)を頂きました。
ヘルシングボリのプレスクールでは2014年秋から”主任=first teacher”の制度が導入され、相互の経験をシェアし学び合う目的で8園の主任および園長が2015年春から定期的に教育センターに集まり、学びと意見交換を重ねました。本書はその結果を収録したものです。
主任制度導入の狙いは、①子どもを1-20歳の広範な年齢層で見ること、②プレスクールの目標達成を支援すること、③仕事に最新の研究成果を取り入れること、④”学び続ける”組織を作ること、⑤プレスクールの教師のステータスを高めること、などにありました。
この研修は”プロセス研修”と言われるやり方で進められました。プロセス研修では参加者、指導者および所属団体の相互の学びが大切にされます。プロセス研修は単に知識ややり方を教えるものではなく、参加者は自分自身をふりかえり、自分の持っている知識を他の参加者と共にチームで再検討します。プロセス研修では参加者にメンター(相談役)がつけられます。
学びのコンテンツについてのモデル:
このモデルでは下のABCDのすべてが必要で、重要であると指摘されています。
縦軸
A 空想、ありうる答え、未知の知識、創造性、イノベーション
B 論理的な考え方、正しい答え、既知の知識、イミテーション
横軸
C 個人個人の学び
D グループによる学び
8つの経験談:
研修を企画指導したCarina Wällstedt Johansson先生によれば、本書で紹介されている主任の経験談では、子供の好奇心、意欲、関心、そして子どもたちの疑問を大切にすること、が紹介されています。子どもたちの遊びを真剣に取り上げ、遊びをスタート地点として、教師、子どもの次のステップを考えます。遊びではこれまで知られていないことも認める必要があります。経験談では学ぶ環境や教師の子どもたちへの向き合い方の意味にも触れられています。
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ヘルシングボリ市では〈Helsingborg 2035〉というビジョンを作成しています。これは
人にとっても企業にとっても、創造的で、ワクワクし、グローバルで、協働し、バランスの取れた町を目指しています。
本書を読んでも、実際に今回ヘルシングボリでお会いしたカリーナ先生ら皆さんからも、創造的で、ワクワクし、グローバルで、協働し、バランスの取れた幼児教育を志向したい強い意欲が伝わってきました。