スウェーデンでは1990年代から学校、保育、医療、介護などの部門で民営化(民間委託)が進んできました。
しかし、大手私立学校グループ(JB Education)の倒産、投機目的のリスクキャピタルや投資会社の進出、学校教育運営企業の上場が相次ぎ、民営化の弊害規制の動きが見られます。
社会民主党政権は補助金で運営される福祉分野の民間企業の利益を制限する動きを明らかにし、政府の諮問委員Ilmar Reepalu 氏は11月8日に答申(Ordning och reda i välfärden 福祉の整理整頓)を出しました。
答申では、利益の上限を運転資本の7%+国債利率に制限することが提案されています。
答申の試算では、2014年の福祉企業の利益総額は60億SEKでしたが、この上限が適用されると17億SEKになります。福祉企業の中で6500社はこの上限が適用されると上限を超え、 2200社はこの限度内とのことです。
答申ではデンマークやノルウェーではすでに福祉企業の利益制限が導入されており、スウェーデンの状況は特殊だ、としています。
教育や福祉企業からは当然反対の声が高まっています。
政府は2017年に法案を提出する予定ですが、国会では過半数の賛成票を得るのは難しい、とみられています。
スウェーデンではリスクキャピタルがオーナーの私立学校グループJB Educationが2013年に倒産し、高校を中心に全国で6000人以上の生徒、700人の教職員が路頭に迷う事件がありました。
このような状況を見ると私は何らかの対応は不可避、と考えます。
日本では一般の株式会社とは違い、教育部門では学校法人制度、福祉部門では社会福祉法人制度で運営されていますね。この機会に一度これらの制度の中身を調べてみようと思います。スウェーデンの参考になるやも。