Reputation Instituteの国の評判ランキング(2016年6月)によれば、スウェーデンがトップ、日本は14位でした。(2015年は16位)
FutureBrandのCountry Brand Index 2014-15 では日本が初めてトップにランクされ、注目されました。
それではスウェーデンにおける日本のイメージはどうでしょうか?
1977-78年にジェトロ(日本貿易振興会、当時)ストックホルム事務所に勤務していた時に実施されたスウェーデンにおける日本のイメージ調査では、先進工業国、生活水準の上昇といったプラスのイメージの一方、公害、低賃金、女性の地位が低い、低福祉、低教育水準とのイメージが共存していました。(『スウェーデンにおける対日イメージ』日本貿易振興会、1979)
当時はスウェーデン人にはまだまだ日本は異質の国と捉えられていたといえるでしょう。
在スウェーデン日本大使館が2011年に公表した〈スウェーデンにおける対日観に関する分析〉では以下のような結果が出ています。(メールにより1000人から回答)
1.アジア地域の中で次のどの国・地域がスウェーデンにとり最も重要ですか。
(回答は2つまで)
中国 (70%)
日本 (35%)
インド (18%)
タイ (14%)
韓国 (5%)
シンガポール (1%)
インドネシア (1%)
3.日本に親しみを感じますか。(回答は1つ)
①とても親しみを感じる (3%)
②どちらかというと親しみを感じる (15%)
③どちらかというと親しみを感じない (36%)
④親しみを感じない (33%)
⑤わからない (12%)
4.日本に対するイメージは次のどれですか。(複数回答)
技術力の高い国 (79%)
豊かな伝統と文化を持つ国 (72%)
自然の美しい国 (53%)
アニメ・ファッション、料理など新しい文化を発信する国 (39%)
平和で安全な国 (37%)
欧米志向の国 (36%)
経済力を持った大国 (32%)
かっこいい(Coolな)国 (20%)
自由で民主的な国 (19%)
世界の文化においてリーダーシップを有する国 (8%)
世界の政治においてリーダーシップを有する国 (6%)
特にイメージはない (5%)
上記のどれでもない (1%)
わからない (4%)
シンポジウム「北欧から見たニッポン−その虚像と実像」1995年
1995年10月7日に札幌で北海道東海大学北欧研究会、(財)札幌国際プラザ、北海道スウェーデン協会の主催、札幌デンマーク通商事務所、(社)スウェーデン社会研究所の後援で標記のシンポジウムを開催しました。
当時は、阪神大震災、サリン事件、超円高、と矢継早に日本を襲った出来事が、それまで日本人自身が持っていた、日本のイメージを大幅に書き換えた時です。福祉先進国北欧の若者たちは日本の社会の現状ををどのように捉えているのか、北海道東海大学(現在東海大学)に留学中のデンマークの研修生、ストックホルム大学生が日本の学生とともに、日本の虚像と実像に迫るのが目的でした。
上述のように、1986年にはスウエーデン人にはまだまだ日本は異質の国と捉えられていたようです。
しかし、このシンポジウムでは、発表したスウェーデン人、デンマーク人、日本人のすべてから「同質性」「共通性」が強調されたのが目立ちました。
たとえば、ストックホルム大学日本語学科のカイセン・ハンソンさんは、初めて日本に来たときに「日本がスウェーデンと似ているのにびっくりした」と述べました。
デンマークからの 研修生ヘンリク・ブラントさんは「日本での生活に慣れるにつれてデンマークとの差は小さくなる一方」と感じていました。イェンス・ビトラップさんも「出る釘は打たれる」と言うデンマークの「ヤンテの法則」を例にとり、日本との共通点を強調しました。
また、北海道東海大学の新田友美さんも、「留学生との違いをあまり感じない」と述べました。
かつての日本論、日本人論ではとかくその異質性が強調されてきました。しかし、今や違いはむしろ虚像で、共通点の方が実像に近づいているのではないかもしれません。
このシンポジウムで明らかになった共通性は、1)日本の社会全体の変質、および2)欧米に近い北海道特有のオープンなメンタリティーの両方から由来するものでしょう。
オーケ・ダウン・ストックホルム大学名誉教授は論文”アジアのスウェーデン人、北欧の日本人”でスウェーデン人と日本人の国民性の共通点を5つあげ、スウェーデン人にとって日本人はアングロサクソンや南欧よりも国民性が似ている、と述べています。
2018年(日瑞国交樹立150年)に向けて様々な共同プロジェクトが動き始めています。
日本とスウェーデンの共通点も課題も多くなり、2018年は次の両国関係への大きなステップになりそうで期待が高まります。