センター試験2018地理B第5問。
問いでは”ノルウェーとフィンランドを舞台にしたアニメーション”とあり、「ムーミン」をフィンランド、「小さなバイキングビッケ」をノルウェーと組み合わせるのが正解とされました。
問題にされているのは「ムーミン」の舞台がフィンランド、「小さなバイキングビッケ」の舞台がノルウェーであったのか、という点。
ムーミンの著者トーベ・ヤンソンはスウェーデン系のフィンランド人で、作品はスウェーデン語で書かれています。1941年から敗戦までスウェーデンに駐在した著名な小野寺信・陸軍武官の百合子夫人は戦後ムーミンシリーズの翻訳者として知られるようになりました。
ムーミン谷がフィンランドにあったのかは確認できないようです。
"小さなバイキング ビッケ"の著者Runer Jonssonはスウェーデン人。舞台がノルウェーとは確認できないようです。
フィンランド最大の朝刊紙Helsingin Sanomatは1月16日付の”Onko
Muumilaakso Suomessa? – Japanissa nousi kohu valtakunnallisen
yliopistokokeen maantieteen kysymyksestä (ムーミン谷はフィンランドか?-日本のセンター試験地理の問題で問われた)”と題する記事で、この問題が日本で話題になっていることを伝えています。ただ事実関係の報道のみです。
フィンランド大使館の広報担当は、「ムーミン谷がどこの国とは言えない。それぞれの心の中にある、というのが正しいと思う」と述べていると朝日新聞や日本経済新聞は報じています。
さすが、素晴らしいお答えですね。もし私が現役なら、”ムーミン谷はどこにありますか?”という記述式の問題を出してみたいものです。
14-18世紀の間、フィンランドはスウェーデン王国の一部でした。現在もスウェーデン語はフィンランド語とともにフィンランドの公用語の一つです。フィンランドの総人口の約5%はスウェーデン語を母国語とします。
ノルウェーとスウェーデンは言語も似ており、両国の人はノルウェー語、スウェーデン語で話し合い問題なく理解できます。ノルウェーとスウェーデンは1814年から1905年まで連合王国を形成していました。
このような関係もあり、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの間は、日本と近隣諸国の関係とは大分違います。ムーミンがどこの国、小さなバイキング
ビッケの舞台がどこの国か、あまり気にしないのではないでしょうか。そのようなアンケートをこちらでとってみると面白そうです。
何れにしても、北欧が注目されるのは嬉しいことです。
センター試験の他の地理B第5問も北欧に関する興味深い問題です。
ぜひ試してみて下さい。