国連のWorld Happiness Report 2019 でトップにランクされた北欧フィンランドで4年に一度の総選挙が4月14日に実施されました。
前回の2015年の総選挙の結果、中央党のJuha Sipilä党首を首相とする中道右派連立政権が担当してきましたが、今年3月8日に辞任し、選挙管理内閣の形態でした。
今回の総選挙結果の主なポイントです。
・社会民主党が第1党になったのは20年ぶり。ただ、第1党の得票率(17.7%)が20%に届かないのはフィンランドではまれです。また第1党、第2党、第3党の議席数の差はそれぞれ最小限の1議席。
・一時期消滅も噂されていた「真のフィンランド人党」が大躍進し、17.5%を得て第二党に。内閣入りを希望していますが、社民党などは今のところ拒否の姿勢です。
・最大のルーザーは前政権の中央党。同じ連立内閣を構成していた保守党は1議席増やしています。
・今回の主な争点は環境と移民(Mia Holmberg Karlsson/TT)。環境問題を強調したグリーンや左党も伸びています。今回の選挙の勝者は”レッド・グリーン・グループ” そして反移民の「真のフィンランド人党」の躍進。
・投票率は72%で1991年以来の高率。
・200議席中92議席(46%)が女性。女性比率は史上最高。
・今後第1党社会民主党のAntti Rinne党首を中心に新連立内閣についての協議が進むとみられます。5月26日にはEU議会選挙が予定されており、その頃までに組閣が目指されるだろう、とHbl紙は書いています。7月1日からフィンランドはEUの議長国を務めます。
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フィンランドは独立100年。小国ながら社会、満足度、信頼感、平等、環境/エネルギー、教育、IT/国際競争力、子どもの幸せ、健康などの国際指標でトップクラスにあります。"Finland among the best in the world" (Statistics Finland)。
スウェーデンのSvenska Dagbladet紙は今年2月24日「Så blev Finland bättre än Sverige på nästan allt (こうしてフィンランドはほぼ全てについてスウェーデンよりも良くなった)」という記事を掲載して注目されました。
国民は幸せで、セキュリティーも良く、政治への信頼度も高いフィンランドですが、ポピュリスト政党の台頭、多党化、という欧州のトレンドの例外ではなさそうです。
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Antti Rinne社会民主党党首を首相とする中道左派内閣が組閣に合意し、6月3日に基本政策を公表しました。
今回の連立内閣は、社会民主党、中央党、環境党、左翼同盟及びスウェーデン人党の5党からなり、近年フィンランドでは見られなかった中道左派。4月の総選挙の結果、5党はフィンランド国会(200議席)で合計116議席を保有します。
主な政策としては、6万人の雇用創出、教育及び大学教育への予算増、医師を1000人増やし医療を改善する、25歳までは避妊薬を無料化、難民受け入れ枠を100人増やして年850人とする、などとDN紙は報じています。