今回はアパホテル&リゾート西新宿5丁目タワーに泊まっています。
ここを選んだ理由は、①新宿で地下鉄の駅に近い、②露店風呂がある、③良心的な値段、④8Fにテラスプールがあること(実際には夏だけオープン)などです。
部屋にこの本が置いてありましたので早速読みました。
ヘルシンキ→成田のフライトで「最高の人生の見つけ方」を観ました。天海祐希が演じる"会社のために生きてきた〈大金持ちの女社長・マ子〉"が元谷社長をヒントにしているのかは知りませんが、マ子社長と元谷社長を重ね合わせながら読みました。
以下が元谷芙美子さんの略歴です。
-----------------
福井県福井市出身。
福井県立藤島高校卒業後、家庭の事情で大学進学を諦め、地元の福井信用金庫に入社。
22歳で結婚し、翌1971年、夫の元谷外志雄が興した信金開発株式会社(現アパ株式会社)の取締役に就任。
1994年、アパホテル株式会社取締役社長に就任。
2006年早稲田大学大学院公共経営研究科修士号を取得し、2011年には同博士課程を修了。
現在は東京国際大学客員教授も務める。
社長就任当時、ホテル部門は赤字ギリギリで8ホテルしか運営していなかったが、現在、アパホテルネットワークとして全国最大の518ホテル86,033室 (建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含む)を展開する。(2019年7月現在)
また、住宅部門の統括戦略本部長として日々営業の最前線に立つ。
「私が社長です」のキャッチコピーで、自ら広告塔としてテレビや雑誌等、メディアにも多数出演。著書「強運~ピンチをチャンスに変える実践法~」では、日常のハプニングやピンチを笑いに変え、明るく前向きに生きるエピソードを多数紹介している。
-------------------
以下印象に残ったページです。
・仕事をしている時間が楽しくて仕方がない。「自分の仕事が社会のために役立っていると意識する」(p 74-75)
・「社員のみんなから、好かれていると信じています。だって、私自身が社員一人ひとりのことが好きで、いつもみんなにそのことを伝えているから」(p 91)
・社員は宝! リストラゼロが信条。「将来、アパホテルの女性支配人の数を男性以上にします」と宣言。(p 105-106)
・「夢は要らない。的確な未来予測の基、戦略人生を歩め」(p 108)
・「時代の先を読み、素早く行動に移す、即断即決」 それが可能なのは自社で土地と建物を所有していることが大きい。ネット予約の時代になると読み、米国サンフランシスコのCI会社・ランドー社に乗り込み、最短でカタカナの”ア”とアルファベットの"A"からはじまる「アパ・APA」という名称を決めた。(pp. 120-121)
・二兎追うものは二兎とも得る (pp 124-127)
・「2012年から東京国際大学で客員教授を務めていますが、”営業とは恋愛だ”というテーマで講義をしたことがあります。愛してほしければ、うーんと愛してあげればいい」(p 130)
・毎日、些細なことにも感動する。私は人一倍の感動屋。毎日些細なことでも感動するのが日課。毎日生きていられることが奇跡だと思えば、当たり前として通りすぎてしまいそうなことにも、感動したり、感謝したりできます。 (pp 148-151)
・動いた距離だけ学びがある。発想は移動距離に比例する (p 156)
------------------------
徹底的なプラス思考ですね。「実は私、これまでストレスを感じたことが一度もない」(p 35)
実は私もそうなんです。一度お会いしたいものですね。
2019年6月29日にオンラインで第15回北欧に学ぶ創造性教育ワークショップを実施しました。
取り上げたテーマは「日本人は集団主義的か?」。高野陽太郎先生の「日本人は集団主義」という大いなる誤解」という説について議論することが目的でした。
高野先生の近著『日本人論の危険なあやまちー文化ステレオタイプの誘惑と罠』(ディスカヴァー携書、2019)を読ませて頂きました。
本書の結論は307-308ページに書かれています。
----------------
「日本人は集団主義的、アメリカ人は個人主義的」という日本人論の通説は、事実に即していない。(中略)
この通説は、19世紀のアメリカ人がもっていた偏見に端を発しています。(中略)
現実の人間は、文化によってがんじがらめに縛られているわけではなく、その時の状況に合わせて、柔軟に行動を変えることができます。また、状況が変化すれば、文化それ自体も変化します。
------------------
高野先生はスウェーデン交流センターの季刊誌「ビョルク」(第144号、2019年10月)のコメントで「(このワークショップでは)専らご自分の体験に依拠していた方々が多かった。この方法をとると、”確証バイアス”(無意識のうちに、先入観にあった事例ばかりを探してしまうというバイアス)等の思考のバイアスに影響されて、誤った判断を下してしまう可能性が高くなる」と指摘頂いています。
高野先生によれば、「日本人は集団主義的だ」という通説の検証には、最低限、必要な条件が3つあります。(pp 64-65)
-比較をすること
-同じような人たちを比較すること
-同じ状況で比較すること
そして様々な心理学的実験が紹介されています。
「恥の文化論、日本的経営論、タテ社会論、甘え論、間人論、自己管理論といった枝が広がり、(中略)誰の目にも大樹の威容を見せるようになっていった」(p.201)が、これらの通説は事実に即していないという検証がなされています。
私が現役時代授業でも取り上げていたホフステーデの文化と経営スタイルの四つの指標の一つは「個人主義 - 団体主義」ですが、高野先生の分析によれば、「じつは集団主義・個人主義とは何の関係もない研究だった」(p.87)そうです。
第四章(日本経済は集団主義的か?)では、年功序列、終身雇用、企業別組合の「日本的経営」の三種の神器の検証がされています。日本的経営については、バブル崩壊以降の日本経済の大きな変化とともに経営スタイルも変化していることには私も異論はありません。
私自身は国民性や文化のステレオタイプに興味を持ってきました。
しかし、高野先生によれば、「国民性も文化ステレオタイプの一つ」(p. 232)。「文化ステレオタイプは単純で理解しやすいので、異文化と自文化がどう違うのか、”分かった”という気にさせてくれます」(p 304)がその罠に落ちないことが重要。
たいがいの場合、文化というのは、日本人論などの文化論からイメージするほどには、大きな影響力はもっていない。ふつうは状況のほうがずっと大きな影響力をもっています。それどころか、文化そのものも、状況の影響を受けているのです。(p.248)
文化よりも状況、という説は、ある意味ではその普遍性を信じたい気持ちも強いです。文化、国民性には影響されず、同じ状況なら人は国や文化に関係なく同じような行動、判断をする、と。
その一方で私自身の場合、異文化との出会いがそもそも海外への関心の出発点でした。西村恵信先生との邂逅で、禅、鈴木大拙、西田哲学、などの東洋思想と西洋思想の違いに関心を持つようになったのです。そして自分自身の体験からも日本人論の多くに納得し、”分かった”という気になっていたことも事実です。
高野先生によれば、私自身も”確証バイアス”で誤った判断をしてきたのかもしれません。自分の興味、関心のスターティングポイントそのものを否定され、大きなショックでもあります。
これから私ができることは限られていますが、同じような「状況」で日本人と北欧人がどのように判断し、行動するのか、実験、検証して行きたい気持ちです。
日本のドキュメンタリー映画「ハーフ」をスウェーデンと日本で同時に鑑賞し、オンラインで感想をシェアするイベント。
𝙇𝙚𝙩'𝙨 𝙨𝙚𝙚 𝙩𝙝𝙚 𝙙𝙤𝙘𝙪𝙢𝙚𝙣𝙩𝙖𝙧𝙮 𝙛𝙞𝙡𝙢 "𝙃𝙖𝙛𝙪" 𝙩𝙤𝙜𝙚𝙩𝙝𝙚𝙧 𝙖𝙣𝙙 𝙨𝙝𝙖𝙧𝙚 𝙮𝙤𝙪𝙧 𝙞𝙢𝙥𝙧𝙚𝙨𝙨𝙞𝙤𝙣𝙨 𝙬𝙞𝙩𝙝 𝙛𝙧𝙞𝙚𝙣𝙙𝙨 𝙞𝙣 𝙏𝙤𝙠𝙮𝙤 𝙤𝙣𝙡𝙞𝙣𝙚.
『ハーフ』は、ハーフたちの複雑な心境や、現代の日本での多文化的な経験を通して、発見の旅へと導きます。本作品は、5人の「ハーフ」たちがかつて単一民族と言われてきた国において、多文化・多人種であるとは、どういうことなのかを探求する日々を追います。
“Hafu” is the unfolding journey of discovery into the intricacies of mixed-race Japanese and their multicultural experience in modern day Japan. The film follows the lives of five “hafus”–the
Japanese term for people who are half-Japanese–as they explore what it means to be multiracial and multicultural in a nation that once proudly proclaimed itself as the mono-ethnic
nation.
映画の中では「ハーフ」という言葉が使われるのは日本だけで和製英語、と言われていました。スウェーデン会場ではスウェーデンでも使われる、という人と、そうでない、という人がいました。
〈教育 education〉
映画のテーマである多様性、多民族、多文化について、スウェーデンの教育について東京から質問が出ました。
「違って当たり前」という松井・ツンバ高校教諭のコメントが印象的でした。
松井先生も一章ご執筆された『みんなの教育 スウェーデンの〈人を育てる〉国家戦略』(ミツイパブリッシング、2018)が偶然9/21の朝日新聞で本田由紀・東大教授により紹介されていました。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14187154.html
〈スウェーデン人の誇り、日本人の誇り Prides as Swede and Japanese〉
スウェーデン側からは、自由、誰でも大学まで無料で学べる、女性が働きやすい、などが挙げられました。
日本人の誇りとしてはNina Lundqvistさんが和を重んじることなどをあげてくれました。
〈スウェーデン社会の問題点 Problems in Sweden〉
SD(スウェーデン民主党)の台頭、など反移民の動きも台頭しているが、日本のイメージは悪くない。
〈これからの日本 lessons for Japan〉
多様性 国籍、人種、肌の色などではなく人を人として見てコミュニケーションすることの大切さ。映画ににじみ出ていた多様性のメリット、温かみ、情熱はこれからの日本にとっても極めて大切。
その一方、”「違う人(見た目・考え方)」が自分の価値観やこれまでの社会のあり方を覆す可能性があることへの不安がある、というコメントがあった。多様性が素晴らしい、という感覚を味わうだけでなく、それは決してあなたを脅かさない、と示す必要があるのかなと思った。”(東京会場)とのコメントも印象的でした。